クラウドファンディングの種類ー法体系や商品性の違いー

クラウドファンディングの種類ー法体系や商品性の違いー


SBI CapitalBaseリサーチ担当のファラロンです。

 

昨今、クラウドファンディングという言葉は珍しいものでもなくなりつつあり、さまざまなサービスを介して耳にすることがあるかと思います。しかし、一言でクラウドファンディングと言っても、そのなかにはいくつかの種類があります。今回は、その種類を関連する規制や商品性といった視点で整理していきます。

 

クラウドファンディングの種類


まずは、おおまかにクラウドファンディングにはどのような形があるのかをご紹介します。

 

もともと、クラウドファンディングとは特定のプロジェクト支援が目的となっており、投資性のあるものではありませんでした。しかし、その後にクラウドファンディング市場の発展とともに形態も多様化し、ユーザーへの価値還元を前提とした投資性のあるクラウドファンディングが誕生しました。

 

本稿では前者を「非投資型」、後者を「投資型」と区分してご説明します。

 

非投資型

 

「非投資型」とは、リターンとして金銭的な対価が発生しないことが特徴です。非投資型には、「寄付型」「購入型」の2つがあり、プロジェクト支援の特色が強いものになります。

 

寄附型

 

寄附型は、「寄附」という言葉の通り、特別なリターンを求めることなく寄付先に金銭を送るため、その目的は資金援助であると言えます。寄附型はその特徴から、一般的に教育や医療、文化財や動植物の保護など、公共性の高い案件が多い傾向にあります。ただ、寄附者にもメリットはあり、寄付先より発行される領収書等の支払証明をもって確定申告を行うことで、税金の寄付金控除(※)を受けることが可能となります。寄付型の場合、しばしばビットコイン等の仮想通貨を用いたスキームが採用される場合もあります。

 

寄附先に細かな指定があり、寄附者に特別の利益が発生しない国や地方自体、財務大臣に認可された教育・科学・文化・社会福祉・その他公益に著しく寄与する公共社団法人又は公共財団法人といった諸条件を満たしている必要があります。


参考:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

 

購入型

 

購入型は、製品やサービスの立ち上げを企画している事業者に資金を送ることで、支援者は開発された製品のベータ版やサービスの優先利用権などを受け取ることができます。市場に出回る前の製品やサービスを利用できることが多いため、リターンの形が目に見えてわかりやすいのも特徴です。しかし、プロジェクトによっては、目的の製品やサービスがいつまでも形にならないリスクがあるため、アイデアだけでなく実現可能性も見極めることが大切です。

 

投資型

 

投資型のクラウドファンディングは、先述の寄付型・購入型と異なり、キャピタルゲイン・インカムゲインを目的とするクラウドファンディングの総称となります。投資対象は様々ありますが、大きくは「貸付型(融資型)」「ファンド型」「株式型」に分けられます

 

貸付型(融資型)

 

貸付型は、銀行のような貸付を支援先に行うことで、金利をリターンとして受け取り、一定期間経過後に当初の貸付金(元本)を返済してもらう形態です。一般にソーシャルレンディングと呼ばれるサービスが本類型に該当します。出資とは異なり、貸付は元本の返済が前提となっていますが、これは一般の貸付のように保証されているものではありません。また、クラウドファンディングは通常の貸付と比較して総じてリスクが高いため、その対価として比較的高い利息収入を得ることが可能です。

 

不動産を担保とした企業への貸付を行うことで、そのリターンをクラウドファンディング事業者から利息として受け取る仕組みをとっているケースもあります。依然としてリスクはありますが、不動産を担保として取っているため、貸し倒れが起きた際、担保の売却等による金銭による元本の弁済を受けることができます。

 

ただし、元本の返済が前提とはいえ、返済の遅延や貸し倒れリスクは厳然と存在していることから、慎重な融資先選定が必要となります。

 

また、貸付型を運営する事業者には、第二種金融商品取扱業の他に、貸金業のライセンスが必要になります。クラウドファンディング事業者が、借り手の企業や個人に直接貸付を行うためです。スキームとして、Webを通じて主に個人投資家から匿名組合出資を募り、調達した資金をクラウドファンディング事業者が貸付(融資)を行い、期間満了時に元本と利回り分の金銭の返還を受けます。

 

ファンド型

 

ファンド型は、クラウドファンディング事業者が融資を行う先に対して、間接的に投資を行う形態を指します。つまり、クラウドファンディング事業者が運営するファンドにお金を預けて運用委託することになるため、その収益性に対してリスクを負うことになります。また、貸付型と比較して貸金業のライセンスが必要ないことも挙げられます。これは、クラウドファンディング事業者が投資家と結ぶのが匿名組合契約であり、第二種金融商品取扱業の範囲に収まることが理由です。

 

ファンド型の例としては、企業の「事業投資」や小口融資などを行う「マイクロファイナンス」「流動化・証券化」などがあります。以下、主なこの3つについてご説明します。

 

1.事業投資

 

事業投資とは、企業が行うプロジェクトに対して投資を行うもので、その事業が資金を元手にどれだけの利益を上げられるかがポイントとなります。この場合、単一事業への投資であれば、市場の成長性や事業を行う企業の運営によって収益性は大きく左右されることになります。

 

一部のサービスでは、ファンドを介して上場企業の事業にも投資することができるため、事業の運営会社が返済不能にならない限りは利回りを確保することができます。

 

2.マイクロファイナンス

 

マイクロファイナンスとは、1つのファンドから多くの個人または小規模自営業者などに投資を行うものです。メリットとして、1つのファンドで多くの投資先を持つことになるため、小口分散(※)が効きつつ、比較的高い利回りを獲得することできます。ただし、投資先の実態が見えにくいことや、為替リスクの高い国への投資などもあるため、相応のリスクを負うことが前提となっています。

 

マイクロファイナンスの場合、ファンド貸付が海外法人を経由して行われていることが多く、貸金業のライセンスは基本的に必要ありません。

 

※ 小口の投資先を多く持つことで、1つの債権から生じる返済遅延や貸し倒れがファンド全体に与える影響を小さくすることができるように設計されています。

 

3.流動化・証券化

 

流動化・証券化とは、一般的に特定の資産を裏付けにして発行した証券等を投資家に販売することで資金を調達する方法です。投資対象の資産は、主に不動産と金融債権(売掛金や貸付金など)に大別することができます。

 

特徴としては、投資家が自身のリスク選好度に合わせて、投資する資金の性質を選択することが可能な「優先劣後構造」という形態を取っていることが挙げられます。この構造は、一般的にシニアメザニンエクイティと呼ばれる階層になっており、順にリスクと期待リターンが高くなっていくように設定されています。シニア・メザニンは債権性を有しており、エクイティは資本性を有しているため、両者で投資資金の性質は異なります。

 

シニア・メザニンは前述の貸付型に該当し、ファンド型に分類されるのは最も期待リターンとリスクの高いエクイティ部分になります。

 

エクイティは、その性質から、貸付金などの債権というよりも、株式などの資本性を有するものに近いと言え、仕組みもやや複雑になっています。

 

まず、クラウドファンディング事業者は、特別目的会社(SPC)と呼ばれる特殊な会社(※)を経由して、不動産信託受益権を購入します。不動産信託受益権の取得により、不動産の賃料収入などの経済的便益を、信託会社からの配当という形で間接的に受け取ることが可能となります。

 

これにより、クラウドファンディング事業者は運用した不動産から発生する賃料収入や不動産信託受益権の売却による利益を、投資家に配当として支払うのです。

 

エクイティはシニア・メザニンとは異なり、貸付ではなく運用収益となるため、受け取る配当の変動が大きいことも特徴に挙げられます。

 

賃料収入はもちろん、売却の際にも物件価値の上下により、大きく変動します。シニア・メザニンは債権としての性質上、物件価格が上昇しても返済額に変化はありませんが、エクイティはシニア・メザニンを除いた売却益のすべてを享受することができます。一方で、上述の優先劣後構造により、物件価格が下落した場合には弁済順位が最も低いエクイティは損失が大きくなります。

 

SPC:Special Purpose Companyとは、ある特定の事業目的のために利用される、従業員なども在籍していない、会社としての実態がない会社形態です。資産担保証券に代表される「証券化商品」と呼ばれる金融商品の組成の際などに用いられることが多くあります。この場合は、不動産信託受益権の取得のために用いられ、信託会社から配当を受け取り、投資家に還元する役割を担っています。

 

株式型

 

未上場企業の株式・新株予約権を指します。しかし、東証などで売買される上場株式とは異なり、マーケットが存在しないため、通常の手法で売却することができません。

 

株式型は有価証券を扱う特性上、第一種少額電子募集取扱業のライセンスが必要となります。

 

また、株式型は主に「普通株式」「新株予約権」の2つに分けられます。

 

1.普通株式

 

通常の株式と同様に、1単位あたりの議決権を有し、弁済順位が債権よりも劣後する性質を持っています。このことから、株式は債権(融資型の貸付も含む)よりもリスクが高いと言えます。また、クラウドファンディングの場合は、上場していない株式を受け取ることになります。つまり、IPOにより当該企業が上場してその株価が市場価値を持たない限りは、原則的に売却によるキャピタルゲインを得ることはできません。

 

例外として、M&Aによる株式取得などがある場合は、当該企業が上場する前に株式を売却できる可能性があります(譲渡制限が付されている場合は、株主総会の承認を必要とするなど手続きが別途必要な場合があります)。それでは、なぜこのようなものに投資するメリットがあるかというとIPOによる上場で株式に市場価値が付いた際に、大きなキャピタルゲインを得られる可能性があるからです(※)

 

エンジェル税制の適用を受けることで、売却した年の総所得金額か株式譲渡益から自己負担分を除いた総投資額を控除することができます。

 

2.新株予約権

 

通常の株式とは異なり、新株予約権はそれ単体で価値を持つものではなく、定められた行使期間内に株式を取得する対価として、行使価格を発行元の企業に払い込むことで、当該企業の株式を取得することができる権利です。その権利を行使するかどうかは投資家の手に委ねられており、行使期間内に株式に転換しなければ失効してしまいます。

 

また、行使に係る制限が付されていることもあり、株式を持つよりも若干複雑な手続きが必要です。クラウドファンディングによる新株予約権の取得は、一般的な報酬として付与される無償の新株予約権とは異なり、投資額の対価として受け取っていることから、有償での取得に該当します。つまり、税務上のメリットを受けられるのです。無償の場合は給与所得としてカウントされる一方で、有償では経済的便益を受けていないことから、適正な価格で発行された新株予約権は、株式への転換時に原則として課税対象としてカウントされることがありません。したがって、取得した株式の売却時にのみ課税されます。

 

以下、クラウドファンディングの類型を図1にて整理しています。

 

図1 クラウドファンディングの類型 

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色々とご説明してきましたが、当社が準備を進めているサービスは投資型のなかでも株式型に分類されます(一般的には「株式投資型クラウドファンディング」と呼ばれます)。

 

まとめ

 

ここまでクラウドファンディングの種別とその特徴を解説いたしました。

 

一言でクラウドファンディングといっても、その種類は多岐にわたり、関連する法規制も異なることがあり、投資する際に注意すべきことも変わってきます。

 

加えて、世間の認知度はそれほど高くないためまだまだ市場としては小さく、成長の期待される分野となっています。本記事を参考に、SBI CapitalBaseだけでなく、クラウドファンディング業界についての理解も深めていただければ幸いです。


クラウドファンディング業界は歴史が浅く、様々な商品設計・スキームが登場してきています。本投稿の分類は1つの考え方であり、他の分類の仕方や例外的な商品も存在いたしますので、クラウドファンディング投資を検討される場合は、必ず各商品毎のリスク説明を十分にご確認ください。